弁護士視点で知財ニュース解説

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試験問題と著作権

intellectual_08.jpg試験などで文学作品などを利用して出題されることがありますが,他人の著作物を利用して試験問題を作成することは認められるのでしょうか。

この点,著作権法では,入学試験その他人の学識技能に関する試験などで,必要と認められ,かつ,著作権者の利益を不当に害することとならない限度で,公表された著作物に限り使用することが認められています。

ですから,試験問題を作成する上で文学作品を利用する行為は問題となりません。

それでは,過去に出題された問題を集めた過去問題集の作成は,どうでしょうか。
過去問題集は,入学試験,人の学識技能に関する試験ではありませんので,利用された著作物の著作権者の同意を得る必要があります。

また,文学作品を利用した試験問題が独立した著作物と認められる場合も少なくありません。
試験問題自体が著作物と認められる場合には,文学作品の著作権者の同意に加えて,試験問題の著作権者の同意も必要となります。

試験問題に使用された文学作品の著作権者をどうしても探し出すことができないという場合があるかもしれません。
このような場合には過去問として使用することが認められないかというと,そうではありません。

裁定により使用許諾を得るという方法があります。
著作権者の所在を調査したが見つけ出すことができない場合には,文化庁著作権課に相談し,裁定の申請を行ってください。
裁定で利用が認められれば,著作権利用料を預託して著作物を利用することが可能です。

また,法律で定められた調査を行った場合には,裁定申請中にも利用が認められることがあります。

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