弁護士視点で知財ニュース解説

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違法にアップロードされた動画をストリーミング再生することって違法なの?

cont_img_45.jpg違法にアップロードされた動画を,違法にアップロードされていることを知りながらダウンロードしてPCなどに保存する行為は,著作権者の複製権を侵害する違法な行為であり,保存されたコンテンツの消去や損害賠償を求められることになります。

そして,有償で提供されている動画の場合には,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金という刑事罰の対象にもなる行為です。

最近では,アップロードされた動画をダウンロードして再生するのではなく,ストリーミング再生をすることが多いのではないでしょうか。

ダウンロードの場合,意図して消去しない限りハードディスク内にデータが保存された状態が続きますので動画をハードディスクに複製したといえます。
ところが,ストリーミング再生の場合には,ハードディスク内にキャッシュデータが保存されますが,保存されたキャッシュデータは自動的に順次消去されていき,ハードディスク内での保存が一時的です。

このようなハードディスク内に一時的に保存する行為が,はたして複製といえるのかということが問題になり,仮に,複製といえないのであれば,違法にアップロードされた動画をストリーミング再生する行為は,違法ではないということになります。

著作権法では,「電子計算機において,著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合には,当該著作物は,これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において,当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる限度で,当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。」(47条の8)と規定されています。

つまり,著作権法では,動画を閲覧するために,ハードディスク内に一時的にキャッシュデータを保存することが認められているのです。

ただし,著作権法48条の8では,「電子計算機において,著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合」というのが,「著作権を侵害しない場合に限る」とされています。

このような著作権法の規定を前提にすれば,公衆への送信(動画の配信)が権利侵害となる場合には,ハードディスク内にキャッシュデータの一時的保存が認められない,つまり,著作権者の複製権を侵害することになると解釈できなくもありません。
他方で,キャッシュデータをハードディスク内で一時的に保存する行為は,そもそも複製にはあたらないという見解もあります。

ちなみに,文化庁では,違法にアップロードされた動画を,違法にアップロードされたものと知りつつストリーミング再生したとしても違法ではないと考えられています。
文化庁は,キャッシュデータをハードディスク内で一時的に保存する行為は,そもそも複製にはあたらないと考えているものと思います。

なお,著作権法による刑罰は,著作権者などから処罰を求める訴えがあって始めて捜査が行われます。
著作権者などが,ハードディスク内に一時的に保存されたキャッシュデータの存在を把握することは事実上不可能です。
ですから,仮に,違法アップロードされた動画をストリーミング再生する行為が違法であると判断されたとしても,これを検挙していくというのは極めて困難であると思います。

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