弁護士視点で知財ニュース解説

サムスン Microsoftの提訴を受けて仲裁申立てへ

Microsoftは,サムスンに対し,スマートフォン関連の特許実施料未払いの遅延損害金の支払いを求める訴訟を,ニューヨークで提起していましたが,サムスンは,これを受けて,香港の国際商工会議所(ICC)において仲裁の申立てをしました。

Microsoftとサムスンの特許紛争が新たな展開をみせたと言ってよいと思います。

ここいう仲裁手続とは,二国間にまたがる商取引に関する紛争を解決する手続と理解して頂ければ結構です。

例えば,日本と中国の会社が取引に関して紛争になったと仮定します。

日本の企業が日本において裁判を提起して判決を得たとしても,日本の裁判所の判決は中国において適用することはできません。

司法権も国家の主権と一つであり,日本の裁判所の司法権が及ぶ範囲は,日本の主権が及ぶ範囲となります。

極端な言い方をすれば,中国の企業からすれば,中国国内では日本の判決は「紙切れ」同然ということになります。

日本も複数の国と条約を締結しており,日本の裁判所で下された判決を条約国の裁判所において承認する手続を得て,条約国で日本の判決を執行する方法はあります。

しかし,日本は,このような条約を全ての国と締結しているわけではなく,先程の例の中国においては執行することができません。

このような問題を解決する手続として仲裁手続があります。

仲裁手続は,ニューヨーク条約締約国(140か国以上)であれば,仲裁手続の決定を法的に有効なものとして執行することができます。

また,仲裁手続は,予め契約書などにより定めておくことにより,紛争を解決する基準となる法律をどこの国の法律とするか,手続法はICCが定める手続によるのか,特定の国民事訴訟法を適用するのか,仲裁手続において使用する言語をどう

するか,仲裁をどこで行うか,仲裁決定とは別に訴訟を提起することができるかなど,紛争が発生した場合の解決手続について自由に設定することができるのです。

国際間の知的財産に関する紛争においても,利用される手続です。

仲裁手続は,国境をまたぐ取引に関する紛争で多用されていますが,仲裁手続は,私的に裁判所を設けるようなものですので,3人の仲裁人の費用,自身の代理人の費用,仲裁場所確保の費用など,通常の訴訟を提起するより費用が嵩みます。

この関係で,金額の低い紛争では,事実上利用することができない手続となっています。

サムスンがMicrosoftからの訴訟提起を受けて,仲裁手続の申立てを行なったことについては様々な理由があるのでしょうが,手続の内容を秘匿したいということも申立ての一つの理由ではないかと想像しています。

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