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JASRACの「包括徴収方式」に決着

JASRACの「包括徴収方式」の法的手続に決着がつきました。

この問題は,楽曲管理団体であるイーライセンスが公正取引委員会に問題点を指摘したことにより端を発し,公正取引委員会は,平成21年,JASRACが放送事業者と結んでいる包括許諾契約が新規事業者の参入を妨げているとして排除措置命令を出しました。

ところが,JASRACが公正取引委員会に対して申立てた不服審判においては,排除措置命令を取消す審決が下されました。

これに対し,イーライセンスは,公正取引委員会の審決を不服として東京高裁に対して審決取消訴訟を提起したところ,東京高裁は,平成25年11月1日,放送局がイーライセンス管理曲の利用を回避する旨の内部文書が存在したことなどを根拠に,「審決の認定は実質的証拠に基づかず,その判断にも誤りがある」,「他の事業者を排除している」として,公正取引委員会の審決を取消し,「現在の包括徴収方式が公共の利益に反するか」等の条件を満たすかも含めた検討を行うべく,審議を公取委に差戻しました。

cont_img_72.jpg東京高裁の判決を受けて,JASRACは,最高裁に対して上告を行ったところ,最高裁は,平成27年4月28日,JASRACと放送局等との間で締結されていた楽曲等の利用に対する課金方法である「包括徴収方式」について,独占禁止法が禁止する「私的独占」に該当するおそれがあると判断し,公正取引委員会における審判手続のやり直しを命じました。

これを受けて,JASRACは,公正取引委員会において審判手続を継続していたわけですが,平成28年9月9日,審判手続を取下げました。

問題となった「包括徴収方式」とは,管理楽曲の利用数を問わず年間で放送事業収入の1.5%を使用料として支払うという内容のもので,放送事業者等は,JASRAC管理楽曲以外の楽曲を使用しようとすると,JASRACに対して支払う放送事業収入の1.5%に加えて楽曲使用料が発生するため,JASRAC以外の団体が管理している楽曲の使用を回避しようとします。

この点に,競業者を不当に排除する効果があるとして問題とされていました。

JASRACは,公正取引委員会において審判手続を継続する一方で,NHK,民放連との間で新たな算定方式を導入することを盛り込んだ協定を結びました。

新たな算定方式では,年間に使用した楽曲のうちJASRAC管理楽曲が占める比率を算出し,各放送局の売上高の一定比率としていた従来の算定式に,新たにJASRAC管理楽曲の比率も掛け合わせて算出するという方法が採用されており,各放送局がJASRAC管理楽曲以外の楽曲の使用を控えるという効果は抑えられています。

JASRACの「包括徴収方式」は,長年の間,法的手続で争われてきたわけですが,この問題についてもJASRACによる審判手続の取り下げにより決着した形となりました。

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