弁護士視点で知財ニュース解説

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JASRAC 仮処分の申立て

JASRACは,平成26年8月9日,静岡地裁に,市内のライブハウスが無許諾で生演奏やカラオケの利用を続けていることを理由に,楽器演奏とカラオケ装置の使用の差し止めを求める仮処分の申立てを行いました。

JASRACの説明によると,楽曲等の無断使用により損害が遅延損害金も含めて390万円程度になり,再三にわたり著作権侵害行為の停止や損害賠償を求めたにもかかわらず,これに応じなかったために仮処分の申し立てを行ったようです。

楽曲,歌詞は,別々の著作物として著作権法により保護されており,これらを無断で複製,演奏(楽曲),歌唱(歌詞),インターネットなどで公開,あるいは公開できる状態におく,譲渡,貸与,編曲(楽曲),翻訳(歌詞)する行為が禁止されています。

ただ,ライブハウスやカラオケン店は,みずから演奏や歌唱するわけではなく,利用者が演奏や歌唱をすることになります。

そこで,ライブハウスやカラオケ店が著作権を侵害しているのかということが問題となりますが,利用者に著作権を侵害させることで収益を得ているというという点で著作権の侵害の主体性が認められています。

この点については,以前,裁判所で争点となっていましたが,今日においては裁判所の考え方として定着したものとなっています。

さらに,裁判例では,カラオケの演奏装置を貸与あるいは販売する際に,装置利用者が著作権利用料を支払うような手立てを講じていなかった業者に著作権侵害の主体性が認められたものもあります。

JASRACは,ライブハウスやカラオケ店等を訪問して楽曲や歌詞を無断で使用していないか否かの調査を地道に行っています。

JASRAC管理楽曲や歌詞を演奏するあるいは歌唱する機会がある場合には注意を要するところです。

なお,you tube やニコニコ動画等へJASRAC管理楽曲や歌詞を演奏するあるいは歌唱する動画をアップする行為は,you tube やニコニコ動画等がJASRACとの間で利用許諾を契約を締結しているため著作権侵害にはなりませんので安心してください。

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