弁護士視点で知財ニュース解説

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不正B-CASカード 輸入差止対象に

B-CASカードを発行するビーエス・コンディショナルアクセスシステムズと,有料衛星放送事業者のスカパーJSAT,スター・チャンネル,WOWOWの4社は,東京税関に対して,有料放送を無料視聴可能にする不正B-CASカード(BLACKCAS)に対する輸入差止申立てを行っていましたが,平成26年8月20日,東京税関において輸入差止の申立てが認められました。

これにより,全国の税関で取締りが行われ,不正B-CASカードが発見されますと輸入ができなくなります。

平成26年8月13日には,台湾で日本人向けに不正B-CASカード(BLACKCAS)をインターネット販売していた男性が台湾当局によって逮捕されたばかりであり,海外で改ざんされた不正B-CASカード対策が本格的に行われているようになったといえます。

そもそも,不正B-CASカードを譲渡,引渡し,展示,輸出,輸入する行為は,不正競争防止法2条1項10号に違反する行為となります。

関税法69条の13により,特許権実用新案権,意匠権,商標権,著作権,著作隣接権及び育成者権又は不正競争差止請求者が,自己の権利又は営業上の利益を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合に,税関庁に対して,当該貨物について認定手続をとるべきことを申立てることができるとされており,税関での輸入差止申立が認められますと,侵害品の輸入は差止められることになります。

また,今回のような不正競争防止法に関する輸入差止申立に関しては認定手続の簡略化が認められており,申立から比較的早期に輸入差止の決定を得ることができます。

海外から輸入される知的財産侵害物品については,国内に流通した後に裁判所で差止めや損害賠償を求めるよりも,国内の市場に出回る前に税関での水際対策の方が有効な場合が多いといえます。

海外から輸入される知的財産侵害物件に悩まされている方は,税関による輸入差止の制度の活用を検討してください。

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