弁護士視点で知財ニュース解説

人工知能(AI) 保護に向けた検討開始

経済産業省,特許庁は,モノとインターネットをつなぐIoT技術や人間が知能を使ってすることを機械にさせる人工知能(AI)を活用する「第4次産業革命」に備え,これらの技術を知的財産権として法的に保護する検討を開始しています。

intellectual_04.jpg知的財産として法的に保護するにあたり,真っ先に頭をよぎる法律は特許法,著作権法ではないでしょうか。
そもそも,特許法によって保護される対象は「発明」であり,特許法において「発明」とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」をいうと規定されています。
そして,特許法においては,発明は人によって行われることが予定されており,逆からいえば,人によって創作されたものでないものを特許法上では「発明」とはいいません。

また,著作権によって保護される対象は「著作物」であり,著作権法において「著作物」とは,「思想又は感情を創作的に表現したもの」と規定されています。
このように,著作物についても,人が創作するということが前提になっているのです。

この結果,人工知能(AI)に関する技術そのものは,人が創作した成果物であるため,特許法が保護する発明や著作権法が保護する著作物に該当する可能性があり,特許法,著作権法の保護の対象となりえます。

しかし,人工知能(AI)の働きによって生まれた成果物は,人の創作活動とは関係のないところで生まれたものであるため,現在の法律を前提とした場合には発明や著作物に該当せず,特許法や著作権法の保護対象となることはありません。

そこで,現在の法律の枠組みを前提とする限り,人工知能(AI)の働きによって生まれた成果物を法的に保護することを検討する場合,不正競争防止法の「営業秘密」に該当しないか検討することになると思います。

不正競争防止法において,「営業秘密」とは,「秘密として管理されている生産方法,販売方法,その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの」と規定されています。

つまり,「営業秘密」であるか否かを判断する基準として,人が創作したか否かということが問題とはならないのです。

ただし,人工知能(AI)の働きによって生まれた成果物は,広く人に知れることになる性格のものも少なからず存在し,「秘密として管理されている」という要件を満たすのかという問題は出てくるように思います。

人工知能(AI)の働きによって生まれた成果物には,人工知能(AI)そのものの技術の保護をもって足りるものと,成果物として独自に保護されなければならないものとが存在するように思われ,法的に保護していく成果物との線引き,現行の法制による保護の限界を検討し,人工知能(AI)の働きによって生まれた成果物の利用と保護のバランスをとる必要があると考えています。

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