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【離婚】には理由が必要

結婚は双方の意思が合致することによって成立しますが、離婚についても基本は双方の意思の合致によって成立します。
離婚をするためには親権者を誰にするか、離婚後の養育をいくらにするか、財産分与をどのようにするかなどについて話し合って、双方の意思が合致すれば離婚が成立することになります。

多くの方は、夫婦間の話し合いによって離婚されていると思いますが、お子さんがおられたり、多額の住宅ローンが存在する場合などには、お金の問題が絡んでくることもあり、なかなか当事者の話し合いだけでは話し合いがつかないということになります。

その場合には、家庭裁判所の調停手続を利用して、調停委員を間に挟んで話し合いをすることになります。
調停委員は、裁判官の指導を受けながら、裁判所が定める基準に沿って両当事者を説得しますので、当事者だけでは話し合いにならなかったものが合意に至るというケースも少なくありません。
例えば、養育費は当事者の収入によって決定されますが、受取る方は相手方の収入に関係なく、以前の生活レベルを維持する金額を提示することがあり、当事者では話し合いにならなかったものが、裁判所によって決定される金額がこの程度であるという基準を示すことにより、渋々ながらも合意に至るというケースが少なくありません。

ところで、当事者間で、あるいは裁判所の調停手続で離婚が成立する場合には、両当事者の合意が存在するため、離婚を行う理由というものが必要ありません。
例えば「生理的に受け付けることができなくなった」、「他に好きな人ができた」ということであっても、当事者が合意すれば離婚は成立します。

rikon002.jpgしかし、一方が離婚に応じない場合に、どうしても離婚したいということになりますと離婚訴訟を提起するということになります。
離婚訴訟では、法律に定められた「離婚理由」というものが存在しない限り判決によって離婚することができません。

法律で定める離婚理由には、配偶者が浮気をしている、自宅から出て行って放置されている、3年以上生きているのか死んでいるのか分からない、強度の精神病にかかり回復の見込みがないというものがあります。

その他にも「婚姻を継続し難い事由が存在する」ときに離婚が認められますが,これには「生理的に受け付けることができなくなった」、「他に好きな人ができた」という理由は含まれません。

「婚姻を継続し難い事由が存在する」ということで問題となるものとして、自らの意思で別居を行った側から別居が長期間継続しているというものです。

確かに、別居期間がある程度継続していると婚姻関係は実質的に破綻しているといえますが、婚姻という制度は、他方の配偶者やお子さんを経済的に保護するという役割も果たしており、別居期間がしばらく継続しているというだけでは離婚が認められることはありません。

一般的には3年程度の別居期間が必要であると言われています。
但し、3年の別居期間が経過していなくても、事情があってどうしても離婚したいという方もおられます。
そのような場合には、調停の申立てを行ない説得できなければ離婚訴訟を提起します。判決言い渡しの時点では別居期間が足りず離婚が認められない判決が下されます。しかし、判決後、改めて調停の申立てを行ない説得できなければ訴訟を提起する、仮に第二次訴訟の判決の時点で3年程度の別居期間が存在すると離婚の判決を得ることができる可能性が出てきます。
また、二度目の調停や訴訟になると相手方も対応することが負担になり離婚に応じる可能性も高まります。

このような方法は、当事者にとって時間や費用が大きな負担となってのしかかってきますので、お勧めではありません。
やはり、結婚されたときと同様に、当事者の意思の合致により離婚を目指すということが基本になります。

詳しくこちらをご覧ください。
スター綜合法律事務所「離婚について」

弁護士 冨宅恵

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