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【離婚問題】オーナー社長の場合...

オーナー社長が離婚をする際、特に事業が上手くいっている社長にとって大きな問題となるのが財産分与の問題です。
社長個人で保有している不動産、預金、株式、自動車だけではなく、経営している会社の株式も、結婚後に形成された財産である限りは財産分与の対象となります。

rikon003.jpg上場している会社の株式であれば、一株の金額が明確であり流通性もあるため株式を分与することにより財産分与を行うことができます。但し、新興市場に上場している会社の多くは、発行済株式の3分2程度は、一族(大半は社長)が保有しているため多数の株式を配偶者に分与することになり、新たな大株主、しかも感情的に対立している可能性の高い大株主を生むことになるという点に注意が必要です。

他方、上場にまで至っていないがある程度の規模を有する会社の場合、より一層複雑な問題が存在します。
保有する株式を配偶者に分与するというのであれば株式の価値につき厳密さ査定は必要ありませんが、別れた配偶者に会社の株式を保有されると安定した会社経営ができない可能性が高くなります。
また、別れた配偶者の方でも換価性に乏しい非上場の株式などいらないと主張してくるのが一般的で、この場合にも株式の単価を割り出す必要があります。

株式の単価は、「会社の事業価値÷発行済株式総数」によって算出されますが、「会社の事業価値」を算定することは容易ではありません。

会社の事業価値の算定方法としては資産をベースとする方法、類似企業と比較する方法、会社が生出す利益を基準とする方法の三種類があり、これらの方法により算出された金額を綜合考慮して最終的な価値を割り出します。

試算をベースとする場合には、会社の資産から負債を差し引いた金額となりますが、会社の資産を金銭評価することは意外と容易なことではありません。貸借対照表に計上されている価値を参考にはしますが、実勢価格と計上金額とが乖離しているのが一般的です。不動産については不動産仲介業者や不動産鑑定士に依頼することである程度実勢価格に近い金額の割り出しが可能ですが、大型設備等の高額な動産は処分すれば低額であるが、稼動させていれば高い価値があるという場合に、どのように評価するべきであるかという問題が発生することがあります。

類似企業との比較についても、上場企業と比較することができる規模の企業であれば比較対象が多数存在するため算定が比較的に容易ですが、そうでなければ比較対象となる企業を探すことが容易ではありません。
また、比較する企業の価値がそもそも適切に評価されているのかという問題も存在します。

rikon004.jpgそして、会社が生み出す利益を基準に価値を割り出す方法ですが、これは過去数年の利益を参考にして算出するわけですが、経済情勢が目まぐるしく変わる今日において過去を基準に企業価値を算定すると過大な評価になることが少なくありません。
また、将来の収益を何年分見るのか、将来の倒産率をどの程度とするのかによっても企業価値は大きく異なり、算出する者によって企業価値が何倍も異なるということが少なくありません。

また、三つの方法で算出した価値をどのように調整して(どのような割合で)最終的な価値に反映させるのかという問題も存在します。

さらに、企業価値の算定において注意しなければならないのは費用の問題です。
費用は企業の規模によっても異なりますが、数百万円、500万円を超えるという例も少なくありません。
仮に、こちらで価値を算定したところ相手方がこれに納得せずに算定を行い、双方の開きが著しいために裁判所において改めて算定を行うという例もありますので、タイミングを誤り、自身に有利な算定を行ってしまうと、結果的に何度も算定を行うということになりかねませんので注意が必要です。

ところで、自宅や使用している高級車などが会社の所有となっている場合があります。
別居期間が存在する場合、財産分与の基準時は別居開始時となりますので、別居後に会社が取得した高額なマンションや高級車などが財産分与に反映されないということもあります。
特に、意図的に別居期間を長くして、相手方にどのような財産を保有しているのか把握することを困難しているケースもありますので、このようなケースでは特に注意が必要になります。

詳しくこちらをご覧ください。
スター綜合法律事務所「離婚について」

弁護士 冨宅恵

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