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【破産】スーパー銭湯「やまとの湯」の湯快生活(株)

報道によれば、スーパー銭湯「やまとの湯」を運営していた湯快生活(株)(現在の社名:日本総合ビジネス保証(株)、東京都中央区新川1-20-4、小嶋晋平社長)が、平成26年10月16日、東京地裁において、債権者より破産を申立てられ平成27年3月25日、破産開始決定を受けたとのことです。

同社は、平成22年10月1日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した大和システム(株)の関連会社である(株)大和の湯の温浴事業(スーパー銭湯)を引き継ぐ目的で,スポンサーとなった(株)八丁堀投資により設立。
yamatonoyu.jpg「やまとの湯」の名称で全国に展開していた18店舗とその従業員を承継し、初年度の平成24年4月期には売上高34億2880万円をあげる一方、当初より一部店舗貸主との間で賃料の減額などの交渉が難航し、平成24年12月より逐次店舗の閉鎖やFC店への転換,他社への営業譲渡などを進めながら事業を維持してきたとの事情もあるようでした。

ところがその後、いくつかのトラブルが裁判事件に発展し、所有不動産への差押や動産譲渡登記の設定などで信用が失墜。
平成26年4月10日にはスポンサーであった八丁堀投資、グループ会社の(株)八丁堀住宅が、債権者より東京地裁へ破産を申し立てられ、同年5月13日に開始決定を受けるなど動向が注目されていました。

今回の事件でもポイントの一つになっている民事再生法ですが、事業の存続を図りながら過剰債務の圧縮を行う債権型の法的整理手続となります。
民事再生手続には、大きく分けて、再生会社が金融債務を整理して自主再建を図る自主再生型再生の他、再生会社の事業を優良部門と不良部門に切り分け、優良部門をスポンサー企業に譲渡して、譲渡対価をもって債権者への弁済を行うことにより事業の継続・再生を図るスポンサー型再生の手法があります。

今回の事件の詳細な経緯は不明ですが、結果的には、スポンサー型再生が行き詰まったケースと言えます。
その要因としては、再生会社の事業を承継するにあたり、承継会社による対象事業の収益性・将来性・法的リスク等に対する査定に問題があった可能性が考えられます。
一般に、再生会社からの事業取得は、掘り出し物案件など、事業内容によっては、費用対効果に優れるケースが多いものの、改めて、デューデリジェンスの重要性に気づかされます。

一方、今回の事件では、スポンサー企業自体も「債権者から」破産を申し立てられるという珍しい事態となっています。
一般的に破産手続においては、破産者自らが裁判所に破産を申し立てる、「自己破産」のケースがほとんどですが、理由なく支払いを履行しない債務者に対して債権者から破産を申し立てることが法的に認められており、破産手続が開始すると、その後は破産管財人が破産会社の財産を調査・換価して、債権者に配当することになります。
このため債権者破産の申立については、債権回収を図る債権者にとって、最終兵器とも言える手続となります。

改めて、債権回収の難しさと奥深さを感じさせる事件と言えます。

文責:弁護士 久保陽一

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