遺産を分割する場合、昔の考えた方に基づいて遺産を分割していこうとする、相続前に行った負担や受けた利益が存在するということだけで争いに発展するわけではありません。
遺産には、土地や建物といった不動産、預金、株式、債券などの金融商品、宝石・貴金属、美術品、高価な時計といった動産など様々なものがあります。
例えば、ご両親と同居されていた相続人は、ご両親が亡くなられた後も一緒にすまれていた自宅で住むことを望まれます。しかし、自宅を手に入れることができなかった相続人がいる場合には、その相続人から不満がでてくることがあります。また、両親と一緒に住み、両親が賃貸アパートを保有し、賃料収入にある程度依存しているような事例では、両親と一緒に生活されていた相続人は、その両方の財産を受け継ぐことを主張しますが,他の相続人からは不満がでます。
この事例で、自宅や賃貸アパートの財産価値に匹敵する金融資産が存在する場合は、比較的争いを回避できる可能性は高いですが、そのような例はまれです。
賃貸アパートやマンションが複数あるという非常に恵まれた場合であっても、収益の状況に差がある、築年数に違いがあるなどの理由で、誰がどの物件を取得するかという争いが起こることがあります。
一見単純に思える「誰がどの財産を受け継ぐか」という問題も、実は争いに発展する芽が存在するのです。