民法では次のような行為を行った場合に、相続人を廃除することができると規定されています。
- 被相続人に対して虐待をし,若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき
- 推定相続人にその他の著しい非行があったとき
ここで、推定相続人とは、将来相続人となる立場にある人のことをいいます。ですから、配偶者、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹とその子のことです。
相続人の排除は、相続の欠格とはことなり、法律上当然に相続人という資格を失う訳ではなく、被相続人が家庭裁判所に申立てをして、認められた場合に認められるものです。また、相続人の廃除は、遺言でも行うことができ、この場合には遺言執行者が申立を行うことになります。
虐待や重大な侮辱というのは、主観的な評価が含まれていますので、どの程度であれば民法が定める要件に該当するか、判断が難しいところがあります。相続人の排除が認められますと相続権を失うわけですから、それ相応の行為がないと虐待や重大な侮辱を行ったということにはならないと思われます。例えば、一時の感情にまかせて暴力を加えた場合や暴言を吐いたという場合にはあたりません。
また、著しい非行についても、単に被相続人の言うことを聞かないであるとか、夜間遊んで自宅に戻らない程度のものは含まれません。