B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって発症する肝炎の一つです。
肝臓は、糖質、たん白質、脂肪、ビタミンなどの栄養分の生成、貯蔵、代謝、血液中のホルモン、薬物、毒物などの代謝、解毒、出血を止めるための蛋白の合成、胆汁の産生と胆汁酸の合成、身体の中に侵入したウイルスや細菌感染の防止などの機能があり、人が生きていく上で非常に重要な役割を担っています。
肝炎になり肝臓の細胞が破壊されますと肝臓の機能が低下します。
この結果、全身に倦怠感が現れ、さらには食欲不振、悪心・嘔吐などの症状が出現することがあり、さらに進行しますと黄疸が現れることもあります。
肝臓は予備能力が高く、日常では全体の20%程度しか使われていないため、慢性肝炎、肝硬変と進行しても自覚症状が現れないことが多いと言われています。
そして、成人が初めてB型肝炎ウイルス(HBV)に感染した場合、多くの場合は一過性の感染で自覚症状がないまま治癒し、臨床的には終生免疫を獲得し、再び感染することはないと言われています。但し、治癒した場合であっても、ウイルス学的に、肝臓の中にごく微量のB型肝炎ウイルス(HBV)が存在し続けていることが分かってきました。
他方、B型肝炎ウイルスの感染により肝臓の腫大がみられることがあり、この場合には右背部の鈍痛や叩打(こうだ)痛が現れます。これが急性B型肝炎(B型肝炎ウイルス(HBV)の顕性感染)です。
また、成人が初めてB型肝炎ウイルスに感染した場合でも、ジェノタイプAに感染した場合には、10%前後の頻度でキャリア化すると言われており、B型肝炎ウイルス持続感染者(HBVキャリア)が突如症状が発生する急性増悪や慢性B型肝炎などもあります。
急性憎悪の場合には、急性B型肝炎と同様の症状が出現する(HBVキャリアの急性増悪)ことがあるため、肝炎の症状がみられた場合には、適切な検査を行って両者を区別する必要があります。
慢性肝炎は肝臓の線維化が進み肝硬変となり、肝がんが発生することがあります。ただし、B型肝炎ウイルス(HBV)の場合は、肝硬変になっていなくても肝がんが発生することがありますので注意が必要です。
慢性肝炎は、ほとんどの場合自覚症状に乏しいので、定期的に肝臓の検査を受け、医師の指導の下に健康管理を行い、必要に応じて治療を受けることが大切です。