成年後見人等に「不正な行為」,「著しい不行跡」,「その他後見等の任務に適しない事由」が認められる場合には,本人の利益を保護する観点から,成年後見人等を解任することができます。
過去の成年後見人の解任事例として,
- 他人の債務の担保のために本人の不動産に抵当権を設定し,抵当権が実行されるおそれを招来した
- 本人の預金を成年後見人の生活費として使用していた
- 本人の定期預金を成年後見人の債務の担保として提供していた
などがあります。
成年後見人等の解任は,家庭裁判所に申し立てられることにより,あるいは家庭裁判所の職権によって行われます。
家庭裁判所に対して解任の申し立てを行うことができるのは,本人,本人の親族,後見監督人,検察官です。
これらの者は,申し立てに至った経緯,成年後見人等を解任すべき事由を主張し,疎明する必要があります。
成年後見人等を解任する場合,解任にあわせて新たな成年後見人を選任する,新たな成年後見人を選任する時間的余裕がない場合には,成年後見人等の職務を停止し,職務代行者を選任することがあります。
成年後見人等の職務執行停止は,不正の兆候があり,被害の拡大を防止する必要性が高い場合に認められますが,長期間にわたり事務報告を行わないというのがこれに該当します。
成年後見人等が前記したような行為を行い,本人に損害を与えた場合には損害賠償義務を負うことになりますし,横領罪あるいは背任罪により刑事責任を問われることにもなります。