成年後見・財産管理
成年後見・財産管理

本人が死亡した後の事務

本人が亡くなられると成年後見人等の任務が終了しますが,成年後見人等は,任務終了にともなう事務を行う必要があります。なお,市町村に対する死亡届は,親族が行うのが一般的ですが,親族でない成年後見人等も行うことができます。

成年後見人等は,本人が死亡した場合,死亡診断書写し又は死亡したこと記載された戸籍謄本を提出して,家庭裁判所に報告しなければなりません。
なお,家庭裁判所に本人の死亡を報告しますと,家庭裁判所から,管理計算報告や管理財産の引継ぎなどについて報告を求められることがありますので,家庭裁判所の指示に従って,必要な報告を行うようにしてください。

成年後見人等は,最終的には本人の財産を本人の相続人に引き継ぐことになりますが,相続人に引き継ぐ財産は,全ての清算を終了し,成年後見人等の報酬金額を差し引いた後の財産となりますので,家庭裁判所に対して報酬付与の申し立てを行う必要があります。

成年後見人等は,本人が死亡したときから2か月以内に,在職中に生じた財産の変動(後見事務の執行に関して生じた一切の財産上の収入・支出,財産の現在額)を取りまとめなければなりません。これを管理の計算といいます。

成年後見人等は,管理の計算が終了すると,速やかに相続人対して管理財産を引き継がなければなりません。なお,相続人に財産を引き渡す際,相続人から受取書を受領し,後日トラブルが発生しないようにしなければなりません。

相続人が複数存在する場合であっても,成年後見人等は,相続人の一人に対して財産を引き渡せば義務が果たされたと判断されますが,成年後見人等が財産を引き渡した相続人が,相続分を超えて財産を使用してしまった場合には,相続人間のトラブルに巻き込まれるという問題が生じます。

成年後見人等としては,全ての相続人を特定し,全ての相続人に対して相続が開始したことを通知し,相続人を代表して相続財産を引き継ぐ者を選任する,あるいは相続人間で遺産分割協議を整えることを促すべきであると思います。

全ての相続人が財産の受取りを拒否した場合には,相続人に相続放棄の手続を行うことを促し,相続人全員が相続放棄の手続を行った場合,成年後見人等は,家庭裁判所に対して,相続財産管理人選任の申立てを行うことになります。

また,成年後見人等は,相続人がいない場合にも家庭裁判所に対して相続財産管理人選任の申立てを行うことになります。

他方,相続人は存在するものの,その行方が分からない場合には,成年後見人等は,家庭裁判所に対して不在者財産管理人の申し立てを行うことになります。

本人の債務

本人生前中に発生した債務は,財産とともに,相続分に応じて各相続人に相続されますので,債務を支払うか否かの判断は各相続人の判断に委ねられます。
ですから,成年後見人等は,本人生前中に発生した債務を当然に支払うのではなく,相続人に引き継ぎ,各相続人の判断に任せるというのが原則となります。

ただし,額が少額で,医療費,施設費,公共料金,公租公課などのように速やかに支払われることが求められ,遅延損害金の発生を回避できるなど相続人にとっても支払いがなされる方が望ましいものについては,成年後見人等において支払っても問題ありません。

葬儀

本人の葬儀は,親族が行うのが一般的ですが,親族がいない,親族がいても拒否された場合には,成年後見人等において行うこともありえます。

成年後見人等が葬儀を執り行う場合に注意しなければならないことは,本人の死亡と同時に管理財産が相続人に帰属しているという点です。

本人死亡直後は,財産を管理しているのは成年後見人等ですが,その財産は相続人のものです。

成年後見人等が管理している財産から葬儀費用を拠出した場合,後日,相続人から返還を求められるということになりかねません。

また,成年後見人等において葬儀を執り行う場合,葬儀社と契約するのは成年後見人であり,葬儀社との関係で費用の支払義務を負っているのは成年後見人等です。

葬儀を執り行った後に,相続人から費用拠出の同意を得られない場合,成年後見人の財産から支払いをしなければならないという事態が発生する可能性があります。ですから,成年後見人等において葬儀を執り行う場合,管理財産から費用を拠出することを相続人全員から同意を得ておかなければなりません。

埋葬

埋葬は,親族がいる場合には親族が行うものであり,成年後見人等が行うものではありません。

埋葬を行う親族がいない場合,法律では市町村長が埋葬を行うことになっていますので,親族がいない場合であっても成年後見人等が埋葬を行うことはありません。

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