多重債務問題
多重債務問題

破産に関するQ&A〈財産への影響〉

Q.自己破産をすると、全ての財産が処分されてしまいますか?

自己破産をすると、99万円以下の現金や家具等の生活必需品以外については、原則として,処分されることになります。
ただし、20万円以下の財産については、処分されることはあまりありません。
また管財手続の場合、自由財産拡張の申立てをすることで、一定の財産については、現金と合わせて99万円分まで維持することができます。

Q.自由財産拡張とはどのような制度ですか?

管財手続の場合に限り、

  1. 預貯金・積立金
  2. 保険解約返戻金
  3. 自動車
  4. 敷金・保証金返還請求権
  5. 退職金債権
  6. 電話加入権
  7. 過払金返還請求権については、現金と合わせて合計で99万円まで維持することができる制度です(大阪地方裁判所の場合)。

Q.自己破産をすると、99万円を超える財産を維持することはできませんか?

原則として維持できません。
ただし、99万円を超える部分に相当する現金を破産財団に組入れることで、実質的に財産の価格を99万円以下として維持することは可能です。

Q.自己破産をした場合、両親が自分名義で積み立ててくれた預金を維持することはできますか?

自己破産をした場合に処分される財産の範囲は、原則として申し立てた本人の財産に限られます。
ただし、預金が申立人本人のものであるかどうかは、実質的に判断されるため、ご両親が本人名義で積み立てた預金でも、実質的にみて本人の預金であれば、処分される場合もあります。

Q.自己破産すると,ローンが残っている商品は処分されてしまいますか?

st186.jpg自動車など、ローンで購入する商品には、所有権留保が設定されている場合が多く、この場合、完済されるまでは商品の所有権はローン会社にあります。
そのため、自己破産をすると通常は商品を引き揚げます。

Q.自己破産をした後で取得した財産や収入は,維持することはできますか?

自己破産手続は、申立時点の財産及び債務を清算する手続ですので、自己破産手続後に得た財産は自由に維持することができます。

Q.自己破産をすると,自動車は処分されてしまいますか?

自動車ローンが残っていない場合には、時価20万円超の自動車は、同時廃止のための按分弁済または管財手続で自由財産拡張の申立てをしない限り処分されてしまいます。
また自動車ローンが残っている場合には、自動車は、所有権留保により引き揚げられるのが通常です。

Q.これまでどおりにローンを支払っていく代わりに,自動車を維持することはできますか?

自己破産では債権者間の公平が強く要請されるため、支払不能状態になった後,特定の債権者のみに返済することは許されず、本人がこれまでどおり自動車ローンを支払っていくことはできません。
そのため、所有権留保が設定されている場合には、原則として自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。
ただし、第三者が本人の代わりに返済することは許されるため、ローン会社の同意が得られれば、第三者の返済によって自動車を維持することはできます。

Q.自動車を処分する場合でも、これまで滞納した自動車税を支払う義務はありますか?

自動車税は、4月1日時点の自動車の所有者に課されます。
所有権留保により自動車の所有者がローン会社となっている場合でも、通常はローン会社との契約により、購入者が支払義務を負っています。
公租公課については自己破産をしても免責の対象とはなりませんので、自動車を処分するかどうかにかかわらず、滞納している自動車税の支払義務は残ることになります。

Q.自己破産をするとマイホームは手放さないといけないのでしょうか?

住宅ローンが残っている場合には、住宅ローン会社は住宅に抵当権などの担保権を設定しているので、自己破産の申立をすると、原則として抵当権者に住宅を処分・換価されてしまいます。
また、住宅ローンが残っていない場合でも、住宅の価値が20万円を超えることは明らかなので処分の対象となります。
どうしても住宅を維持したい場合は、自己破産ではなく住宅資金特別条項を使った個人再生を検討すると良いでしょう。

Q.住宅を処分する方法にはどのようなものがありますか?

住宅を処分する方法には、公的機関である裁判所を利用して売却手続を行う競売と、担保権者の同意を得て所有者が不動産業者等の仲介により任意に売却する任意売却という手続があります。

Q.競売と任意売却の違いは何ですか?

任意売却と競売の違いは、裁判所を通して売却するかどうかです。
任意売却は裁判所を通さずに買主と任意に交渉して売却する手続ですので、交渉しだいでは、引越費用を受け取ることができる場合もありますし、競売よりも高く売れる傾向にあります。
他方、任意売却の場合は、買主が見つかれば基本的にはすぐに明渡しをすることになるので、一般的に競売に比べて明渡しまでの期間が短くなる傾向があります。

Q.住宅を所有したまま同時廃止手続はできますか?

同時廃止手続では高価な財産を所有することはできないので、住宅がある場合、通常は管財手続となります。
もっとも、住宅ローンの残額が住宅の固定資産評価額の1.5倍以上の場合には、先行して処分をしなくても同時廃止手続で自己破産をすることが可能です。

Q.住宅を夫婦の共有にしているのですが、その場合にも住宅は処分されてしまうのでしょうか?

住宅を共有している場合、申立人の共有持分は財産となりますので、処分の対象となります。
申立人の共有持分が処分された場合、その買受人が共有物分割請求をすると住宅は競売にかけられることになりますので、住宅を維持しようとすると、共有持分を配偶者が買取ることが必要となります。

Q.住宅を処分する場合でも、滞納している固定資産税を支払う義務はありますか?

公租公課は免責されませんので、固定資産税を支払う義務はあります。
ただし、任意売却の場合は、売却以降の固定資産相当額を日割計算して、買主が売主(破産者)に支払うのが一般的です。

Q.マンションを処分する場合,管理費は支払う必要がありますか?

管理費は住宅を維持するための必要経費ですので、滞納されている管理費は売買代金の中で清算され、通常、破産者が支払う必要はありません。

Q.自己破産をした場合、借家に住み続けることはできますか?

st068.jpg自己破産をしても借家に住み続けることはできます。
以前は、破産すると賃貸借契約は解除されていましたが、住宅は生活の重要な基盤であることから、民法の改正により自己破産をしても貸主は賃貸借契約を解除することができないとされました。
ただし、何ヶ月も賃料を滞納している場合には、賃料不払いを理由に解除される可能性がありますので、解約されないために自己破産の手続中であっても賃料を支払わなければなりません。

Q.自己破産をした場合、滞納している賃料も免責されるのですか?

税金等の一部の非免責債務を除いて、全ての債務が免除されますので、滞納賃料も免除されます。
ただし、この場合、賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除されるおそれがあります。

Q.自己破産をする場合,生命保険を解約せずに維持することはできますか?

生命保険に解約返戻金がある場合、その解約返戻金も申立人の財産とされますので、20万円を超える場合には、按分弁済をするか、管財手続で自由財産の拡張の申立をしない限り、生命保険を解約して解約返戻金を支払う必要があります。

Q.解約返戻金が20万円を超える場合に、どうすれば生命保険を解約せずに維持することができますか?

同時廃止手続の場合には按分弁済をすることで維持できます。
また管財手続の場合には自由財産拡張の申立てをすることで維持することが可能です。

Q.親が私に私名義の生命保険を掛けています。この場合、私が自己破産すると生命保険は処分されますか?親が私に私名義の生命保険を掛けています。この場合、私が自己破産すると生命保険は処分されますか?

解約返戻金が20万円を超える場合、それが申立人の財産であれば、原則として解約しなければなりません。
親が掛けた申立人名義の保険の解約返戻金が申立人の財産かどうかは、名義だけではなく、実質的に判断されます。

Q.自己破産の申立てをする前に退職して退職金が支払われました。自己破産をするとそのお金も処分されてしまいますか?

自己破産において99万円以上の現金は処分されますので、現在残っている退職金の金額が99万円を超える場合には、その超える金額は債権者へ配分されます。

Q.現在会社に勤務しており、退職する予定はありませんが、退職金見込額は処分の対象になりますか?

退職する予定のない申立人の退職金見込額も申立人の財産とされるため、退職金見込額の8分の1が20万円を超える場合,すなわち退職金見込額が160万円を超える場合には、退職金見込額の8分の1相当額を支払う必要があります。

Q.自己破産をしても携帯電話は使い続けることはできますか?

携帯電話もいまや生活必需品であり、自己破産手続中も携帯電話の料金を支払い続けている限り、自己破産をしても使い続けることができます。
もっとも、携帯電話会社は各社で情報を共有しており、通話料金を滞納して破産した場合には、再度の契約は他社も含めて難しくなります。

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