多重債務問題
多重債務問題

任意整理

どのような手続?

任意整理とは、裁判所等の公的な場を利用せず、本人または弁護士などの専門家が、私的に債権者と話し合いをして、借金自体の減額、遅延利息・遅延損害金のカット、将来利息の一部カット、今後の返済方法などを合意して、債務を整理する手続です。

債権者に取引履歴の開示を求め、法律上支払義務のある債務の額を把握して、家計の状況から無理のない額で支払っていくことを各債権者と話合いのうえ合意します。

話合いによる手続ですので、債権者がこの話合いに応じる義務はなく、債権者が応じなければ任意整理はできません。
また、利息制限法に基づく引直計算により、債務は既に完済し過払金が発生している場合には、逆に貸金業者に対して過払金の返還を求めることになります。

任意整理は、裁判所を利用しない私的な手続ですので、債務者個人で行うことも禁止はされていませんが、債務者個人で債権者にかけあっても相手にされないことも多く、事実上、弁護士などの専門家の関与が必要になります。
債権者との間で和解案に合意ができた場合には、その和解案の金額・返済方法に従って、概ね3?5年の間で債務を分割返済することになります。

st022.jpg任意整理は債権者毎に行いますので、債務の全体について無理のない返済ができるように慎重に判断する必要があります。
債権者に取引履歴の開示を求め、現在の債務額及び過払金の額を確定させて、今後の返済計画を立てることから、現在の借金の総額が不明確な方にとっては、とりあえず他の手続に先行して行う債務整理手続ともいえます。

メリット

一部の借金のみについて整理できる場合もあります。

任意整理のメリットとしては、一部の借金のみを選択することができる点が上げられます。
通常、自己破産手続や民事再生手続では、一部の債権者を除くことが許されず、債権者全員に受任通知を送付することになります。
そのため、勤務先から借入がある場合は、勤務先に債務整理手続をしていることを知られてしまいます。
また、自動車等のローンが残っている場合は、ローン会社から自動車等の引き揚げがなされることがあります。
さらに、保証人がいた場合は、貸金業者が保証人に対して一括で支払うよう請求をすることがあります。
任意整理の場合も、基本的には全債権者を対象としますが、借入の総額、収入や財産の状況などから、債務整理の履行可能性が高く、破産に至る可能性が低い場合は、一部の債権者のみを対象に交渉することも考えられます。

手続が簡単です。

任意整理は、裁判所を利用しない私的な手続ですので、自己破産申立や民事再生手続のように、裁判所に対して各種書面作成して提出する必要も裁判所に出頭する必要もなく、また弁護士に依頼すれば依頼者は債権者と直接顔を合わせることもないので、煩わしい思いをすることはありません。

借金の理由は問われません。

自己破産は、浪費やギャンブルなどで作った借金は裁判所の判断によって返済の義務を免除されないことがあります。
しかし、任意整理には裁判所が介入しないので、借金を作った理由を問われることはありません。

官報や破産者名簿に載りません。

自己破産の場合には官報に氏名が載り、市町村が管理する破産者名簿にも記録されます。
また民事再生手続の場合にも官報に記載されます。しかし、任意整理は裁判所を利用しない私的な手続なので、これらには記載されません。

自己破産のような資格制限がありません。

自己破産のような職業による資格制限がなく、自己破産すると就くことができない職業の方(弁護士・税理士等の士業、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、旅行業務取扱主任者、警備員等)も利用することができます。

過払金返還の交渉を同時にできます。

特定調停や破産、民事再生は債務の残っている債権者を相手としますが、任意整理の場合には既に完済している貸金業者に対しても取引履歴の開示を求め、過払金が発生している場合には過払金返還の交渉をすることができます。

デメリット

和解の合意に達しない可能性があります。

任意整理はあくまで当事者間の話合いによるものなので、借金の減額や毎月の返済額、返済回数などによっては和解が合意に達しない場合も考えられます。債権者の中でも,日本政策金融公庫、保証協会、互助会、共済組合等は、弁護士が介入しても支払条件を良くすることは難しいと言われています。

借金の大幅な減額は困難です。

自己破産の場合には、免責を受けられれば借金はなくなります。また個人再生の場合には、多額の財産を所有していなければ、100万円か債務額の5分の1(債務額が3,000万円を超える場合にはその10分の1)を3年間で弁済すれば、残りの債務は免除されます。これに対して、任意整理は債権者との私的な話合いですので、過払金により既に債務が消滅しているような場合でない限り、自己破産や民事再生の場合のような大幅な減額または免除は困難です。

どのような人に向いてる?

一部の債権者を除外して整理したい方

任意整理は一部の債権者を選んで債務整理できるので、保証人に迷惑をかけたくない、ローンの支払が残っている車を残しておきたいといった方に向いています。

取引期間が長い方

取引期間が長い場合は、利息制限法に基づいて引直計算をした場合に借金が大幅に減額され、逆に過払金が発生していることもあります。そのため、過払金を回収しつつ、債務が残っている貸金業者に対しては減額された額を過払金からまわして返済するなど、柔軟な対応のとれる任意整理が向いているといえます。

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