現物出資
現物出資とは、会社の設立、新株発行にあたって金銭以外の財産を持って出資に充てることを言います。
株式の発行にあたっては、事業用資産といった金銭以外の財産をもって出資（現物出資）することも可能ですが、かかる現物出資財産を過大に評価して株式を発行することになると、会社の資本充実を害し、債権者や他の株主に損害を与えることになります。
このため募集株式発行に際して現物出資を行う場合、次の例外を除いて、原則として裁判所選任の検査役の調査を受けることが、会社法上要求されています。
- 募集株式の引受人に割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合（会社法207条9項1号）
- 現物出資財産の総額が500万円を超えない場合（会社法207条9項2号）
- 現物出資の対象となった市場価格のある有価証券について、募集事項に記載・記録された価額が市場価格を超えない場合（会社法207条9項3号）
- 現物出資財産の価格等が相当であることについて、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人、による証明を受けた場合
- 現物出資財産が不動産の場合、不動産鑑定士の鑑定評価を受けた上で、財産の価格等が「相当である」ことにつき(4)に掲げる弁護士等の証明を受けている場合。
- 現物出資財産が会社に対する金銭債権であって、当該債権に係る負債の帳簿価額以下で出資する場合（会社法209条9項4号）。
なお現物出資については、時価で資産負債を譲渡したとみなして、譲渡益に対して課税がなされるのが原則ですが、一定の要件を満たす場合には、適格現物出資として課税を繰延べることとしています。
