採用内定の法的性格
企業と学生との間の内定期間中に採用を不都合とする事由が生じたときは労働契約を解約する旨の解約権を留保したうえで、契約の始期を入社日とする労働契約と解釈されている(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決、電電公社近畿電気通信局事件・最高裁昭和55年5月30日判決)
内定取り消しの適法性
採用内定通知書や誓約書等の記載されている「取消事由」を参考にして、解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できるものに限られる。
判例の傾向としては、労働者側(学生側)の取消は、比較的緩く、使用者(会社側)の取消は、比較的厳しく判断する傾向にある。
例えば、経営悪化を理由にする内定取り消しの事例では、整理解雇の四要素を総合考慮して判断するべきとしている(インフォミックス事件・東京地裁平成9年10月31日)。
判例上、違法な内定取り消しは、損害賠償の対象になるとされている。
通常は慰謝料だが、労働者の地位確認や賃金の支払い(前掲大日本印刷事件)、賃金相当額の逸失利益を認めた判例もある(わいわいランド事件・大阪高裁平成13年3月6日判決)。