知的財産
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作用・効果による拡張解釈

作用・効果により特許請求の範囲が拡張されることもある

発明の目的を達成するのに必要な効果が認められないものについては、形式的には特許請求項に含まれるとしても除外して解釈するということを説明しましたが、その逆もあり得えます。

発明には

  1. 発明の目的
  2. 目的を達する技術的解決原理
  3. 技術的解決原理を実現する技術的構成
  4. 当該技術的構成が実現する作用効果が存在します。

そして、具体的な技術思想は、発明の作用・効果を得るための解決手段になっています。

仮に、特許請求項に記載されている解決手段である技術思想以外の技術的思想でも権利者が意図した発明の作用・効果を得られる場合には、それも特許請求項に含まれる技術的思想であると解釈するのです。

特許請求項に記載されている技術思想が以下のものであったとします。

特許請求項  a+B+C

そして、権利者が意図している作用・効果を得ることができる技術的思想が以下のものであったとします。

作用・効果  A+B+C

この場合、特許請求項を形式的に解釈すると「a+B+C」であるとしても、これを「A+B+C」と解釈するのです。

これは、特許請求項に記載された技術的要素について、共通の作用・効果を有する上位概念の技術的要素まで拡張すること意味します。

このような特許請求項の拡張解釈を認めた近時の裁判例としては、大阪地裁平成1年5月31日「柱等保護具事件」判決、大阪地裁平成11年7月6日「包装用トレー事件」判決、大阪地裁平成13年12月13日「トレー包装体事件」判決があります。

ただ、特許権は、出願人が権利を得ようとした範囲で与えられるのが原則です。
そして、出願人が権利を得ようとする範囲は、特許請求項に記載されたものです。
ですから、特許請求項を拡張解釈するということは、もともと出願人が権利を得ようと考えていなかった技術思想については特許権を与える結果になります。

このような拡張解釈が認められるのは、特許請求項には、「a+B+C」と記載されているように読めるが、出願人は「A+B+C」について特許権を得ようとしていたと認められるような場合でなければならないと考えます。

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