知的財産
知的財産

上映・上演権

無形的な再製

著作権には、著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利があります。

公に

ここで、「公に」とは、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的とするものを指します。
実際に公衆の面前で上演や演奏を行わなくても、上演や演奏手いる場所から通信手段を介して聴衆に見せ、聞かせるものも含みます。また、著作権法では「目的として」と規定されていることから、現実に人が集まっていない場所で上演、演奏を行っていても、「公に」上演、演奏することになります。

著作権法では、「公衆」とは、特定かつ多数の者を含むと規定されています。ですから、不特定人のほかに特定多数人を含むことになります。

どの程度の関係で「特定」といえるのか、どの程度の人数で「多数」といえるのかは、著作物の種類や利用態様等に応じて、どのような場合に権利を及ぼすことが適切であるかを判断していくことになります。

上演

上演とは、著作権法では、演奏(歌唱を含む)以外の方法により著作物を演ずることをいうと規定されています。

実演

実演とは、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)と規定されています。

上演・実演等の範囲

「上演」「実演」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むと規定されています。

カラオケにおける楽曲の利用

上演権で最も問題になるのがカラオケでの音楽の利用です。

公衆で許可なく他人の楽曲を演奏すれば、上演権の侵害となります。
それでは、カラオケ店でお客に許可なく歌唱させ場合、カラオケ店に著作権侵害が認められるのでしょうか。

東京高裁平成13年7月18日「カラオケボックスベルショウ事件」判決では、次のように判示されています。

「本件店舗においてカラオケ関連機器を使って、

  • 管理著作物である伴奏音楽を公に再生することにより管理著作物の演奏権を侵害し、
  • 映画の著作物において複製されている管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽を公に上映してその上映権を侵害し、
  • 再生された伴奏音楽に合わせて管理著作物を顧客に公に歌唱させる

ことにより管理著作物の演奏権を侵害しているものというべきである。」

また、東京地裁平成12年12月26日「カラオケボックス債務不存在確認請求事件」判決においては、次のように判示されています。

「カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックス店舗において公に再生する行為及びこれに合わせて歌唱する行為とは、明らかに別個の行為であり、それぞれについて別個に許諾がされ、著作物使用料が支払われるべきものである。」。
「当時においてはJASRACと業務用カラオケソフト製作者との契約では、管理著作物の複製のみが許諾の対象とされていたものと認定され」「業務用カラオケソフトについてカラオケボックス営業等で利用されることが予定されており、また、被告協会が業務用カラオケソフトの製作を許諾した昭和45年ころから長期にわたって別途演奏についての対価を徴収しなかったという事実が存したとしても、右認定が左右されるものではない。」

さらに、最高裁平成13年3月2日「カラオケリース・ビデオメイツ事件」判決では、以下のように判示し、カラオケリース業者の責任を認めています。

「カラオケ装置のリース業者は、カラオケ装置のリース契約を締結した場合において、当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは、リース契約の相手方に対し、当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく、上記相手が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負うものと解するのが相当である。」

ページトップへ戻る

〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目11番22号
阪神神明ビル 2F

  • JR大阪駅より徒歩11分
  • JR北新地11-41番出口より徒歩8分
  • 地下鉄東梅田7番出口より徒歩10分
  • 地下鉄淀屋橋1番出口より徒歩10分
  • 地下鉄南森町2番出口より徒歩10分
  • JR新大阪駅より車10分