知的財産
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翻案権

原著作物に依拠して新たな著作物の創作

翻案権とは、著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利のことです。
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化などをする行為は、原著作物により表現されている内面的な表現形式を維持しつつ、外面的な表現形式を変更することです。
複製が内面的表現形式と外面的表現形式のいずれをも同一あるいは類似させるのに対し、翻案は、内面的表現形式は維持するものの、外面的表現形式に変更を加える行為なのです。

そして、翻案の結果生まれたものは、新たな著作物(二次的著作物)として、原著作物とは別に著作権法の保護の対象となります。

表現を変えると、内面的表現形式は維持しつつ新たな著作物を創作するのが翻案であり、新たな著作物と認定できない場合には複製に該当するか否かが問題となるのです。

名古屋地裁平成16年7月29日「春の波濤事件」判決は
「著作物についてその翻案権の侵害があるとするためには、問題となっている作品が、右著作物と外面的表現形式すなわち文章、文体、用字、用語等を異にするものの、その内面的表現形式すなわち作品の筋の運び、ストーリーの展開、背景、環境の設定、人物の出し入れ、その人物の個性の持たせ方など、文章を構成する上での内容的な要素を同じくするものであり、かつ、右作品が、右著作物に依拠して制作されたものであることが必要である。」と判示しています。

つまり、翻案権についても、複製と同様に原著作物への依拠がなければならないのです。
この判決は、文字の著作物に関する判決ですが、その他の著作物についても同様に言えると解釈されています。なお、二次的著作物の原著作物の著作者は、その二次的著作物の利用については、二次的著作物の著作者が有する権利をも得ることになります。
つまり、原著作物の著作者は、二次的著作物に対する著作権を有することになるのです。

また、二次的著作物の利用については、その二次的著作物の著作者のみならず、その二次的著作物のもととなった原著作物の著作者の許諾を得る必要がありますので注意が必要となります。
例えば、小説が映画化された場合には、物語の原著作者は二次的著作物である映画の著作物についても、それらの著作者が有する権利と同じ種類の権利を有することになるのです。

そして、二次的著作物である映画の著作物を複製する場合には、その原著作物である小説の著作者の複製許諾も必要となるのです。 二次的著作物の成立によっては原著作者の著作権はなんらの制限も受けません。

ですから、原著作者は、ある二次的著作物が創作された後も、二次的著作物を創作する権利や、他人がその著作物の二次的著作物を創作すること等についての許諾権を持つことになります。

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