知的財産
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意匠法による保護

意匠とは、物品に関する形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合のことをいい、意匠と物品とは不可分の関係にあると取扱われてます。
なお、意匠の詳細については、意匠法の項目を参照してください。

このことから、キャラクターが物品の形状という形で表されているとき、そのキャラクターを意匠法によって保護できる可能性があります。
過去の、登録例では、円谷プロダクションの「ウルトラセブン」の例ががあります。
昭和42年8月1日、「ウルトラセブン」というキャラクター人形の形態について意匠登録出願し、同46年12月25日に意匠登録を受けた(登録第343100号)。また、昭和52年2月21日には、キャラクターの異なる人形の形態を類似意匠として登録していました。

ただ、意匠法によってキャラクターを保護するには、限界があります。

先ず登録制度による限界です。

意匠登録を行う場合には、物品とキャラクターの姿態とを特定して出願しておく必要がありますので、出願時に使用可能性のある物品を全て抑えておく必要があります。また、動きのあるキャラクターの姿態の全て登録することは不可能です。 この結果、事前に意匠登録することキャラクターを完全に保護していくには限界があります。

次に、「新規性」要件による限界です。

公然知られた意匠、頒布された刊行物に記載された意匠・電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠、これらと類似する意匠は、新規性がないとして意匠登録を受けられません。
この結果、キャラクターを意匠法で保護するには、キャラクターが市場に現れる前に登録を行っておかなければならないのです。
しかし、キャラクターは、コミック、ゲーム、テレビ等で何度も登場することによって人気を博し、商品価値が出てきます。

そして、商品価値を生むキャラクターは、無数に存在するキャラクターの極一部であり、予測困難なところもあります。商品価値を生むか否かが不明な段階で、全てのキャラクターにつき意匠登録を行うことは、労力面・費用面で不可能です。このように、意匠法によってキャラクターを保護するにあたっては、新規性の要件が大きなポイントとなってきます。

さらに、「創作非容易性」要件による限界

意匠登録を受けるには「新規性」のみならず、「創作非容易性」の要件も必要になってきます。

ところで、特許庁意匠登録審査基準では、創作非容易性が欠ける例として「公然知られた意匠(広く知られた意匠に基づく場合も同じ。以下同じ。)の特定構成要素を当業者にとってありふれた手法によって他の公然知られた意匠に置き換えて構成されたに過ぎない意匠」(意匠審査基準第2部第3章23.5.1)、「自然物(動物、植物又は鉱物)並びに公然知られた著作物及び建造物などの全部又は一部の形状、模様等をほとんどそのまま物品に表したにすぎない意匠」(同章23.5.5.2)「非類似の物品の間に当業者にとって転用の商慣行というありふれた手法がある場合において、転用された意匠」(同章23.5.6)等があります。
特許庁の審査基準によりますと、文具等の一部をキャラクターの形状のものに置き換えただけのもの、キャラクターをそのまま縫いぐるみ人形や軟性ビニール人形にしたもの、キャラクターの容姿を模した玩具、キャラクターが使用する武器や乗物を模した玩具、キャラクターの容姿を模したクッキーやチョコレート等は、意匠登録を受けることが困難なところがあります。

なお、非常に有名なスヌーピーのような人形がかつて意匠登録されていた例があり、当該意匠登録されたスヌーピーの意匠権に基づく損害賠償請求等が行われた事件が存在します(東京地方裁判所昭和58年6月3日判決)。
ただ、これは、スヌーピーのぬいぐるみとして登録されたのか、単なる犬のぬいぐるみとして登録されたのか不明なところがありますので、現在においても同様な登録が可能かというと多分に疑問が残るところです。

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