コーポレートガバナンス・コード「原則 5-2」においては、経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行なうべきである。と規定され、「補充原則 4-1の2」においては、取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行うべきである。仮に、中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行なうとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである。と規定され、「原則 1-3」においては、上場会社は、資本政策の動向が株主の利益に重要な影響を与えることを踏まえ、資本政策の基本的な方針について説明を行なうべきである。と規定されています。
なお、ここでいう中期経営計画というものは、数年先の売上や営業利益、純利益などの数値目標などではなく、各会社の長期的視点からの企業価値向上を実現するロードマップであるべきだという指摘があります。
確かに、上場企業の多くが数年後の目標として財務情報を提供しており、結果的に達成できていないことが多いように思います。このような現状を踏まえるならば前記指摘は当を得たものといえるのではないかと考えています。
ところで、コーポレートガバナンス・コードにおいては、「株主との建設的な対話」が「会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する」ものとして理解されています。
そして、「原則 5-1」においては、建設的対話を促進する方針として以下のものが挙げられています。
- 株主との対話全廃について2.から5.に記載する事項を含めてその統括を行い、建設的な対話が実現するように目配りを行う経営陣または取締役の指定
- 対話を補助する社内のIR担当・経営企画・総務・財務・経理・法務部門等の有機的な連携のための方策
- 個別面談以外の対話の手段(例えば、投資家説明会やIR活動)の充実に関する取り組み
- 対話において把握された株主の意見・懸念の経営陣幹部や取締役会に対する適切かつ効果的なフィードバックのための方策
- 対話に際してのインサイダー情報の管理に関する方策