1. コーポレート・ガバナンスとは
一般的には企業統治のあり方を示す言葉として使用されています。企業経営の運営を考える場合、株主の意思をどのような会社の機関を通して実現するかは、株主総会・取締役会・監査役・代表取締役等にどのような権限を与え、経営の監視・監督と執行をどのように行うかにかかっています。このコーポレート・ガバナンスを考える場合、次の2つの視点を中心として考えるとその議論が分かりやすくなってきます。
- 1. 会社経営の適法性、公正性、透明性を高めること。
- 2. 会社経営の効率性、迅速性を高めること。
2. 今、何故、コーポレート・ガバナンスか?
平成14年施行の商法等の改正によって監査役の機能の強化や株主代表訴訟制度の合理化が実施され、又、平成15年施行の商法等の改正によって委員会等設置会社や重要財産委員会設置会社の制度が新設され、さらに平成18年5月から新会社法が施行され、いずれもコーポレート・ガバナンスの強化が叫ばれています。
その背景には、経営への監査・監視機能が有効にはたらかず企業の不祥事が続発しコンプライアンス(法令遵守)の欠如が露呈した事実があります。また、日本型経営システムへの疑問やエンロンやワールドコムの破綻により明らかになったアメリカ型経営への懐疑等も端緒となり企業経営のあり方そのものへの議論がさかんになっています。
そして、今、企業に対しては、コンプライアンスの強い要請とともに経営の効率化と透明性が求められ、企業の社会的責任(CSR)論の新たな台頭の見地からも、企業のガバナンスの有り様を考えるコーポレート・ガバナンスの問題は会社経営に関する最重要課題の一つとなったものと考えられます。
3. 実務の対応
コーポレート・ガバナンスに関する前記の基本的な2つの視点を考えると、企業統治の仕組みのいずれを選ぶかよりも、その実効性をいかに確保するかの方が重要な問題と考えられます。
現在日本の大多数の企業で採られている監査役設置会社においても、その取締役や監査役がその使命や法的義務・責任を深く自覚し、それを実行すれば企業統治の実効は十分にあげられる筈です。そして、実務の対応につき監査役設置会社においても、次の様な様々な措置を行い、コーポレート・ガバナンスの実効をあげる努力が見られます。
- 1. コンプライアンス体制の構築
- 2. 企業の社会的責任(CSR)の実行とその報告
- 3. 開かれた株主総会の実施
- 4. 社外監査役制度の導入
- 5. 執行役員制度の導入と実施
- 6. 社外取締役の選任等
このコーポレート・ガバナンスにつきましても、遠慮なくスター綜合法律事務所にご相談下さい。