破産・特別清算
破産・特別清算

破産申立時の対応

破産申立てを行なうに場合には、様々な利害関係人の対応を行う必要があります。
利害関係人には、従業員、税務署・社会保険庁、金融機関、取引先など、会社に対して債権を有している者全てが利害関係人となります。

従業員の対応

従業員の給料が未払いになっている場合、未払いになっていなくとも破産手続を行う当月分の給料の支払いが終わっていない場合に、破産手続を行うことを説明すると給料の支払いがどうなるのかという問合わせを受けることになります。
また、退職金規定が存在する場合にも退職金の支払いが可能であるのかの問合わせを受けることになります。なお、退職金については、外部の金融機関を利用して積立を行っている場合には、会社の破産とは関係なく退職金が支払われることになりますが、このような制度を利用していない場合、利用していても積立不足が発生している場合には退職金問題が深刻な問題となります。

従業員の賃金や退職金に未払いが発生する場合「未払賃金等立替払制度」というものが存在します。この制度は、296万円を上限として、賃金や退職金の未払いの8割を労働者健康福祉機構が立替え払いしてくれる制度です。
破産する会社が配当することができる場合には配当金から可能な範囲で優先的に回収されることになりますが、配当金が一切なくても労働者健康福祉機構が上記した基準で立替え払いを行ってくれます。
この制度は、意外と知られておらず賃金や退職金の未払いが存在したとしても、この制度の説明を行なうと従業員が納得してくれるという場合が少なくありません。

取引先の対応

決済条件を変更した直後に破産手続を行った場合、あるいは破産手続を行う直前に納品を行った取引先は、破産を行う旨の通知を行うと個別に回収を行ったり、納品した商品等を引き上げようとします。
st119.jpg仮に、代金を支払っていなくても会社に納品された商品等は会社の財産ですので返還すると偏頗弁済と同様の扱いになり、破産手続が開始された後に問題となります。
あなたの会社の倒産のあおりを受けて取引先が倒産する危機に瀕してしまうということもありますので,取引先としても必死になります。
このような場合、弁護士が前面に立って取引先との対応を行わなければ収集がつかなくなるおそれがあります。

金融機関の対応

金融機関が破産を予知して優先的に回収を図るということはまずありません。
しかし、売掛金が入金される銀行と借入れを行っている金融機関とが同一であるというのが一般的です。
破産申立てを行なう直前の売掛金は、全ての債権者に配当されるべき責任財産です。そして、破産手続を行うにあたり裁判所に納める費用や申立代理人に支払う費用は、通常、回収予定の売掛金によって支弁されるのが一般的です。
そのような売掛金を借入れを行っている銀行に入金してもらうと破産の申立てを行なうことが察知された瞬間、相殺処理される、あるいは事実状預金が凍結されて引き出すことができなくなり、全ての債権者に対して平等に配当することができなくなったり、破産を行う費用が確保できなくなったりします。
破産を準備するにあたっては、金融機関に対する対応が不可欠になります。

税務署、社会保険庁等の対応

未払いの公租公課が存在する場合、担当官庁に破産を準備していることを知られてしまうと売掛債権等の滞納処分(差押え)を受けることになってしまいます。
未払いの公租公課は、裁判手続を経ることなく直ちに滞納処分(差押え)を行うことができるため、担当官庁による処分は非常に迅速に行われます。
公租公課は、従業員の未払賃金と同様に破産債権者に優先して支払われるべき債権(財団債権)になりますが、破産手続が開始されるまえに優先的に回収されてしまうと、本来であれば従業員に支払われるべきものまで税務署や社会保険庁等に回収されてしまうという可能性があります。
また、破産申立てに必要な費用の捻出を予定していた回収予定の売掛金を確保することができず破産手続を行うことができない可能性もあります。
破産手続を行うことができなかったデメリットについてはこちらをご覧ください。

破産の申立てを行ない、法律の手続にしたがった弁済や配当を行うためには、破産申立てまでの税務署、社会保険庁等に対する対応も重要になるのです。

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